<イベントレポート>ALPS BOOK CAMP2016‖木漏れ日の湖畔で本と緩やかな時を過ごすフェスティバル

<イベントレポート>ALPS BOOK CAMP2016‖木漏れ日の湖畔で本と緩やかな時を過ごすフェスティバル

湖の畔に漂うその緩やかな時間は人々の幸福に満ちておりました。
木漏れ日の午後、山々に囲まれた湖の畔のキャンプ場では、たくさんの人が本を手にしたり、寝そべったり、音楽に耳を傾けたり、水遊びをしたりと、思い思いの時間を過ごしておりました。

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こんにちは。AIR MAGAZINEライターのたつみです。
大町市の北部に連なる仁科三湖の南端の湖「木崎湖」にて、今年で3回目となる【ALPS BOOK CAMP2016】にお邪魔してきました。
昨年は2日間の開催でしたが、今年は8月2日(金)から3日間の開催となった同イベント。
今回のAIR MAGAZINEでは、この素敵な時間漂うイベントをレポートいたします。

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-ALPS BOOK CAMP?イベントの様子

ALPS BOOK CAMP(アルプスブックキャンプ)は、「アルプス山麓で本を愉しむフェスティバル」と題し、木崎湖キャンプ場で開催される夏のイベントです。

古本を取り扱うショップブースを中心に、飲食や雑貨など約80ブースが木漏れ日のキャンプ場に軒を連ねました。
県内外からたくさんの方が訪れ、昨年は2日で約2400名が訪れたそうです。

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入口を入ると笑顔が素敵なスタッフさんが迎えてくれます。
皆さん長野県内からこの日の為に集まりボランティアとしてお手伝いをしているそうです。
「オリジナルグッズもありますよ。」と色々と見せてくれました。

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受付を済ませるとイベント特製の缶バッチが手渡され、入場のチケット代わりになります。
ぼくはこのランタンの絵を選びましたが、他にも動物の絵など数種類がありました。
グッズなどで使用されているこの手描きのデザインが、イベントの緩やかさに大変馴染んでいるのです。
他のデザインのバッチに何度も目移りしたことは、言うまでもありません。。

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早速賑わう会場を一回りしてみました。
古本屋さんの他には、ドライフラワーのお花屋さん、アンティークの雑貨屋さん、地域の野菜を売るお店さんや、飲食店さんなどなど。
会場には多彩なブースが出展されていて、どのお店も個性的で魅力的。
それでいて、一つ一つのお店が会場の緩やかな雰囲気に溶け込んでいて、会場全体が「ALPS BOOK CAMP」というイベントを形作っている印象でした。

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キャンプ場の端の広場では、音楽のステージがありました。
この時の演奏は私も個人的に密かなる想いを寄せている青谷明日香さんが務められておりました。
「かまぼこ板しか興味がない♪」と唄う不思議で暖かい【異端児の城】は、個人的に愛してやまない一曲です。笑

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場内から湖に向けて伸びる桟橋は木崎湖キャンプ場名物です。
泳ぐ人やウォータースポーツを楽しむ方などで夏は大変賑わいます。
この桟橋から湖に子供達が飛び込む姿も、キャンプ場ではよくみられます。

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色とりどりのタープの下には昭和の生活雑誌から、絵本、洋書まで、たくさんの本が並べられておりました。
ブースによって取り扱う本の種類や趣向は様々なので、自分のお気に入りを並べる出店者の方と、ゆっくりお話をしながら本選びをするのも楽しみの一つですね。

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本を手にする文化的な人々と、爽やかな夏の乾いた風が吹き抜けるキャンプ場。
文字で表すと不可解ではありますが、その光景は北アルプスの湖畔に驚くほどにぴったりです。

-ALPS BOOK CAMPの始まり

tatsumi_アルプスブックキャンプ2016-18ALPS BOOK CAMP主催者【菊地 徹】氏

「長野県でしかできない本のイベントをしてみたかったんですよね。」
松本市で本と珈琲が愉しめるお店【栞日-sioribi-】店主であり、ALPS BOOK CAMPの主催者である菊地氏はそう話してくれました。

「本はどこにでも手に入るし、一点物でもないんです。本のラインナップでの差別化は計れない。それでも、長野県には山がある。ここにしかないアルプスのロケーションの麓で、本のイベントをやろう。山麓の気持ちがいいところでキャンプをしよう。そう考え、始めたのが、このALPS BOOK CAMPです。」

-ALPS BOOK CAMPと木崎湖キャンプ場

「キャンプと言ったらキャンプファイヤー!それは外せなかったんです。それで、キャンプファイヤーと出店ブースが集まるイベントをしたい!と、色々と当たってみたんですが。。これがどこも門前払いで。。」
菊地氏はこのイベントを開催するにあたり、アルプスが見えるロケーションの会場を探し回ったそうです。
初めは縁のある松本市内で。それでも、イベントの内容に賛同してくれる会場はなかなか見つかりませんでした。

「木崎湖キャンプ場のことは、ぼくの奥さんから教えてもらいました。管理人のとっちーさんに電話で内容を話したら。『何言ってるんですか?!』って。あーだめだ。。断れる。。と思ったんですよ。そしたら続けて『めちゃくちゃ面白そうじゃないですか!うちでやりましょう!!』って。」

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木崎湖キャンプ場管理人【とっちーさん】こと【荒井】氏

「菊地さんから話を聞いて思ったのは、まず『楽しそう!!』ってことでした。初めはキャンプファイヤーを囲んで菊地さんが本の朗読会をしたいって言ったんですよ!めちゃくちゃおもしろうそうじゃないですか。見てみたいじゃないですか。それで、『やりましょう!』って。」
そう、とっちーさんはニコニコしながら3年前のことを話してくださいました。

2014年夏、第1回目となるALPS BOOK CAMPはキャンプ場の半分のみで開催されました。
来場者の予想数は300名でしたが、実際の来場者数はなんと1000名を超えたそうです。

2015年の2回目には2400名の来場者が訪れ、今年3回目を迎えたALPS BOOK CAMPは菊地氏がイメージしていたイベントへと成長を遂げました。

「イベントの評価が高かったのはこのロケーションが良かったからだと思います。正直、もっと規模を大きくするのであれば他の場所も考えたりすることはあるんです。でも、来場者の方は木崎湖に来ることを楽しみにされていると思うんですよね。」
そう話してくれた菊地氏は、来年の開催もここ、木崎湖キャンプ場で行いたいと考えています。

-ALPS BOOK CAMPの今後

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「<大町で夏に開催される本のイベント>今後はそう呼べれるものとなっていってほしいと思っています。大町で起こっている様々なアートの取り組み、大町のアートカルチャーの特色。このALPS BOOK CAMPも、それらの大枠の中の一つになれればと思います。」

このAIR事業も、来年開催される北アルプス国際芸術祭も、原始感覚美術祭も、AIR MAGAZINEで取り上げさせていただく様々な団体や作家さんも。
大町にはたくさんの芸術/アートに関わる人たちがおられ、様々な活動が展開されています。

菊地氏が考えるALPS BOOK CAMPの今後は地域に溶け込んでいくこと。
夏に木崎湖で打ち上げられる花火のように、大町の夏の景色の一つになることです。

-レポートのまとめ

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「なんて幸福な時間なんだろう。」
ALPS BOOK CAMPでの感想はそういった感覚のもので、何が良かった!ではなくて、流れる時間そのものに「幸福」という言葉が似合うものでした。

木崎湖キャンプ場は、私が大好きな大町の一つです。
こんなにも木崎湖キャンプ場の木漏れ日の午後が似合うイベントは他にはないと思います。
また来年も、ここで流れる緩やかな時を過ごし来ます。

たまにはのんびりと、波や風や、はしゃぐ子供達の音と声とを聞きながら本を読む。
そんな幸せすぎる時間を、来年の夏は是非過ごしてみてください。

記事&写真:
たつみかずき