図書館に行こう ~市立大町図書館~

図書館に行こう ~市立大町図書館~

市立大町図書館は、大町の文化基地です。ありとあらゆる知識が、「本」という形で保存されている、新しい可能性と出会う場所。その楽しみ方の一例を、ご紹介します。インターネットの発展による情報社会だからこそ、ひとつのテーマと深く付き合うための「本」に、ぜひ注目してみませんか?

今から15年前、平成11年に市立大町図書館が現在の場所に開館しました。蔵書数は13万冊弱、6つのエリアに分かれていて、メインは小説や実用書、専門書から辞書までをはばひろく揃えた一般書コーナー、その隣に絵本や児童書を集めた児童書コーナー、音楽や英語、落語などが揃うAVコーナー、大切な本が集まる保存図書コーナー、コーヒーを飲みながら本を読めるくつろぎコーナー、そして地域のあらゆることを調べられる「地域資料室」です。

図書館の歴史は非常に古く、紀元前7世紀にはメソポタミアに粘土板の図書館があったと言われています。それは、長い間ごく少数の人たちが研究のために利用するものでしたが、19世紀後半の民主化運動にともなって、あらゆる人々が自由に資料に接することができるようになったそうです。つい最近、「図書館戦争」という小説が映画化されて話題を呼びました。その小説は「メディア良化法」という法律の基、検問で面白い本が処分される社会に対して、武器をもった図書館が「知る自由」を守るために戦うお話しです。著者がそのアイデアを思いついたきっかけは、作者の地元にある図書館の掲示板に掲示されていた、「図書館の自由に関する宣言」だったそうです。

「図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする。」

上記の文章から始まるこの宣言は、図書館が民主主義の基本的人権である「知る自由」を担保するために生まれたことがわかります。しかし、こんな話を始めると、「図書館なんて古臭いよ、いまどきインターネットでなんでもわかるのに」という声が聞こえてきそうです。でも、本当にそうでしょうか?「そんなことはない、本には本の良さがある」と子供にいいつつ、本を読まなくなった大人が沢山いるのが現実だと思います。そこで、図書館とインターネットの違いから、図書館もお勧めする理由を3つ、お話したいと思います。

まず1つ目は、情報量です。インターネットの相互性は目を見張る発展をしていますが、その歴史は数十年、まだまだネット上に大事な情報は書かれていません。それに対して本の歴史は2000年以上なんです。ウィキペディアの便利さは驚異的ですが、それぞれの時代に百科事典という辞書編纂に向き合った人たちの膨大な情熱と責任が、辞書を創造してきました。そして、書き言葉が生まれて以来、脈々と受け継がれたあらゆる歴史、人類の想いを読むことができるのが「本」なんです。確かに、インターネットは簡単に様々な情報を得ることができます。しかし、例えば日本の国会図書館の蔵書数は約1000万冊、それら全てが、著者として認められ、情熱をもって「本」を生み出すために試行錯誤した結果、情報の海を漂流して現在まで残っている知恵が蓄積されているんです。

そして2つ目は、検索性です。例えばあなたが英語学習をしたいと思ったとき、インターネットであれば「英語学習」と検索して出てきた情報を得ることになります。素晴らしい英語学習の教材がネット上にあったとしても、検索サイトの数ページ後に埋もれている情報と、なかなか出会うことはできません。しかし、当たり前のことですが、図書館には「本」という物体があります。英語学習の棚に行き、適当に10冊選んで机に座ってみてください。そして、パラパラとめくってみると、なんとなくわかってくる事があります。少なくとも、自分が今、必要としている知識がどんなものなのか?という事がより具体的になってくると思います。パソコンで検索するべき単語だってみつかるでしょう。

そして3つ目、最後に紹介したいのは、「出会い」です。大町図書館には「くつろぎコーナー」というスペースがあって、実は今、この文章をそこで書いています。さっき知り合いに会って、子供が児童書コーナーで遊んでいました。その男の子は、図書館を走り回って、面白そうな絵本をみつけて、借りていきました。きっと今夜、あの子がその本と一緒に眠るんだろうと思って、なんだかうれしくなります。インターネットがだめだと言ってるわけじゃないんです。ただ、インターネットは、いつのまにかとても狭い範囲の情報にしか出会えなくなってしまう危険性を含んでいることを、忘れないでください。さっきの男の子がそうだったように、新しい知識と「出会う」可能性を生む場所として、ぜひ図書館を活用しましょう。

市立大町図書館には児童書が充実しています。職員さんに、この図書館の特徴はなんですか?と聞いたら「アットホームな雰囲気だと、よく言ってもらえます」とおっしゃっていました。確かに、図書館の入り口で風よけを補修していたお兄さんも、カウンターで本を整理している方々も、とても素敵な笑顔で迎えてくれます。暗い部屋で、パソコンの前で調べ物をしているそこのあなた、ちょっと気分転換に、図書館へ行ってみませんか?膨大の知識がつまった本棚の間を散歩して、外の雪景色を見ながら、大きな窓の前で調べ物をする時間は、きっと晴れやかだと思います。

本をリクエストしよう
市立大町図書館では本をリクエストすることができます。あなたがもし大町市民であれば、年間3冊まで申請できますので、あなたの好きな本をぜひリクエストしてみてください。

市立大町図書館には山岳に関する本や、アウトドアについての本が沢山あるそうです。山岳都市大町ならではの特徴ですね。

市立大町図書館
住所:大町市大町4710-6
TEL:0261-21-1616
FAX:0261-23-2131

開館時間
火曜日、水曜日、木曜日、金曜日 午前9時30分から午後6時30分
土曜日、日曜日、祝日 午前9時30分から午後6時
(12月〜3月は、午後5時まで)
休館日
毎週月曜日、館内整理日(毎月最終火曜日)、
年末年始(12月29日〜1月3日)
資料点検期間(毎年6月中の10日間程度)

構造:鉄筋コンクリート2階建て
開館:平成11年10月1日
蔵書能力:15万冊(開架10万冊、閉架5万冊)
延床面積:1726.94m2(1階1181.83m2、2階545.11m2)