市立大町山岳博物館

市立大町山岳博物館

昭和26年(1951)11月1日、「岳の町おおまち」の象徴として、山岳博物館が開館しました。厳しくも豊かな山岳環境と独自の地方文化を見つめ直し、新しい地方文化の向上のためにその発展の拠点を求めて青年たちが立ち上がり、その熱意が地域住民の積極的な支援を得て、日本で初めての「山岳」をテーマとする博物館が生まれました。

大町市は「山岳文化都市宣言」のまちです。先人たちが唱えた、地域文化の集約と発信という原点に再度立ち返り、新しい価値観に基づく山岳文化の創造をめざして、「山岳文化都市宣言」をおこないました。山岳博物館は山岳文化の拠点となる場所なのです。

山岳博物館は、北アルプスを中心とする自然や登山の歴史についての展示があります。常設展として、1階には「山と人 北アルプスと人とのかかわり」を紹介しています。明治以降、近代登山が国内に定着しはじめてから現在まで百余年あまり。ここでは近代登山史のほか、山麓で連綿と育まれた歴史や民俗を含めた「北アルプスの山岳文化」を知るため、後立山連峰を中心とした「山と人」について探っていきます。過去に使用されていた道具などの展示品を見れば、当時の様子がよみがえってくるでしょう。

北アルプスと人とのかかわりについて、「先史時代~古代・中世~近世~近代・現代」の年代記紹介では、各時代の特徴的な事象と今日までの変遷を追っていきます。また、大町山岳人列伝―山岳文化を育んだ大町周辺の人々―と題し、北アルプスの近代登山隆盛を裏舞台で支えた地元地域の人々を紹介しています。「山のまち」大町周辺で山岳文化を育んできた人々。彼らが今に山岳文化を伝えてくれているのです。

2階では「水の惑星・地球46億年の生い立ち」から「日本列島の生い立ち」そして「いまを生きる生物」と続きます。地球誕生から46億年。それぞれの時代の地層から発見される化石を見れば、その時代のようすがわかります。そして日本列島がどのように誕生したか。日本列島は太平洋プレートやユーラシアプレートなどのプレート同士の衝突や離散の過程で激しい地殻変動を繰り返しながら今のような姿になったと考えられています。ここでは、日本列島の成り立ちと糸魚川―静岡構造線と柏崎―千葉構造線に挟まれたフォッサマグナ、北アルプスの成り立ちについてイラストやアニメーションで紹介します。アニメーションでは、北アルプスの地殻がどのように変動していったかを分かりやすく学習できます。

そして山々に住む動物たちの剥製は、最終氷河期を生き抜いてきた生物の子孫です。大町の起伏に富む地形、多様な環境は断層の活動、激しい気候変動などで作り出されたと考えられています。その厳しい環境の中、今も息づいている動物たち。ここでは市街地から高山に至るまでの多様な環境に住む生物について紹介しています。

3階では、北アルプスの展望を望めることでしょう。ここでは北アルプス北部の後立山連峰を中心に、大町市内に位置する標高2400m以上の山岳38座のうち、30座の概要を紹介しています。また残雪模様の雪形や大町市周辺に伝わっている民話も紹介しています。

また黒部ダムや立山黒部アルペンルート、高瀬渓谷、仁科三湖などをフィールドマップなどで見ることができます。

常設展示のほかに、様々な企画展示を行っています。例えば「山」をテーマにした写真・絵画展。いつの時代でも山は芸術家の気持ちを捉えてきました。今年は北アルプス国際芸術祭パートナーシップ事業として、6月~7月には、日本山岳画協会会員の画家である中村清太郎、足立源一郎、畦地梅太郎など、山にはいりこんで絵を描いていた方たちの作品を中心とする山岳画の特別展「山と美術」を開催する予定です。現代アートをみていただいた後は、地元の山岳文化にゆかり深い作品の鑑賞を通して、美術から地域文化の奥行きを感じてほしいと学芸員の方がお話ししてくれました。

また、北アルプスやその周辺にすむ動植物を深く学ぶ企画展や、体験できるイベントも行われています。子供から大人まで参加でき、自然の中での動植物の観察から、地質の学習、市街地に出て大町の山の歴史を学びながら散策するなど多岐にわたっています。講師の方からは一歩踏み込んだ専門的な解説が聞けるでしょう。

山岳博物館では子ども達の学習にも力を入れています。夏休み期間中の小学生を対象とした「さんぱくこども夏期だいがく」を毎年開催しています。地域に残る山の民話の伝承地を訪ねたり、自然の中で動植物を探したり、山の絵の描き方を画家の先生に教わったりと、子どもの興味を引き出してくれます。

付属施設として、付属園(動植物園)があります。北アルプスやその周りでみられる動物や植物の生態展示・研究や傷病鳥獣の保護、種の保全に尽力しています。平成28年度からは国の特別天然記念物であるライチョウの飼育を再開しました。特別天然記念物のニホンカモシカをはじめとして、ハクビシンやチョウゲンボウなど12種類の動物が飼育されています。山岳博物館のホームページでは、各飼育員の方の飼育ブログが載せられており、動物たちの日々の興味深い行動が記されています。飼育員の方だからこそ見られる、愛らしいしぐさや、面白い行動がみられますよ。

大町という土地の誕生から、その環境やそこに生息する動植物たち、山と共に生きてきた人々との歴史と文化。それらを見つめて、次の世代へと伝えていく、そんな場所としてあり続ける山岳博物館に、ぜひ足をお運びください。


名称:市立大町山岳博物館
開館時間:午前9時〜午後5時入館は午後4時30分迄)
休館日:毎週月曜日、祝日の翌日、年末年始
月曜が祝日の場合は開館、翌日休館となります。7月 8月は無休。)
観覧料金:小中学生200円 高校生300円 大人400円(団体は50円引き)
住所:〒398-0002 長野県大町市大町8056-1
連絡先:TEL.0261-22-0211 FAX.0261-21-2133
URL: http://www.omachi-sanpaku.com/

「おおまち博物館めぐり案内図」および「安曇野アートラインマップ」にあります共通割引券をご利用いただきますと、大人、高校生、小・中学生の各観覧料から50円を割り引いた料金でご入場いただけます。割引券は1枚につき表示人数分ご利用いただけます。これらの地図は各加盟館に設置してありますので、ご入場の際にご利用ください。

大町市内在住の65歳以上の方は観覧料が無料となります。
また、大町市内の小学校および中学校に通う児童・生徒の方は観覧料が無料となります。
入場の際に住所・氏名等をご記入いただきます。
身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方の観覧料および同時に入館する介助者等1名の観覧料は無料となります。
毎月第三日曜日の「家庭の日」およびその前日の土曜日は、大町市内在住の方の観覧料が無料となります。長野県民の方の入館は、団体料金となります。そのほかの各種割引につきましては、お問合せ下さい。