作品
全てもって、ゆく
エカテリーナ・ムロムツェワ(ロシア/アメリカ)
大町市は昔、塩の道千国街道の宿場町として栄え、日本海から雪深い山道を、重量60キロの塩を背負って運ぶ「歩荷」と呼ばれる壮絶な仕事があった。作家はこの歩荷のふるまいに興味をもち、北アルプスを仰ぐ盛蓮寺で2つの作品を発表する。境内の蔵では、重い荷物、もしくは魂を運びながら進む人々の姿を壁に映しだす。本堂では、住民協力の基、絵画セッションを通して、実物大の水彩作品を制作する。
作家は問いかける。「私たちは皆、人生の荷物(希望、欲望、記憶)を運んでいる。その荷物を肩から下ろし、純粋な魂で前進し続けることができるのだろうか?」
エカテリーナ・ムロムツェワ(ロシア/アメリカ)
個人や集団の記憶を探る、抒情詩的な作品を制作しているビジュアル・アーティスト。インスタレーション、ビデオ、グラフィック、社会参加型アートなど、さまざまなジャンルで制作を続けている。1990年モスクワ生まれ。