作品
アルプスの玻璃の箱舟
杉原信幸(日本)
青木湖は明治以前国宝仁科神明宮の神の湖であり、祭祀用や松本の殿様に献上される魚はすべて青木湖のものであった。なぜ青木湖が神聖な湖であったのか不思議だったという作家は、冬期に水力発電のため水位が最大20m下がる青木湖で、雪解けの春にだけ水晶がとれることを知った。春先に現れる青木湖の水晶を用い、北アルプスの雪の白さに見立て、水晶と石を樹脂でつなぎ山々の形をつくる。湖面に映る山並みは舟の形となり、湖の漁師たちの記憶と北アルプス山麓の豊かな空間自体が一つの箱舟であることを表現する。
杉原信幸(日本)
1980年長野生まれ / 大町市在住。2010年より木崎湖畔を中心に『信濃の国 原始感覚美術祭』を開催。旅で出会う土地と人々と文化への驚きから生まれる表現によって、人と自然の境界をひらく活動を行う。