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おおまちストーリー #01

※こちらは、北アルプス国際芸術祭2021のアーカイブ投稿となります。

大町に住む「土の人」へ
大町に訪れた「風の人」が訊く
大町ならではのプリミティブな物語

地元に住み続けその土地に詳しい人を
「土の人」と呼び、
旅行者や移住者などを
「風の人」と呼ぶことがあります。
「風の人」は「土の人」から大町を知り、
「土の人」は「風の人」から
大町の魅力を再発見します。
二つの異なる性質が混ざり合い
共鳴し合うとき「風土」のようなもの
=「おおまちストーリー」
が生まれるのです。 

聞き手:稲澤そし恵(風の人)

大町で知る「生まれたての湧水」の魅力
〜蛇口の向こうのひみつ〜

お話してくれた「土の人」

倉科芳久(くらしな よしひさ)さん

大町市 上下水道課 水道施設係
    大町市常盤生まれ、45歳、大町市役所に勤務して27年目
趣味はソフトボールと、おいしいお酒を呑むこと

大町は水の生まれるまち。大地を潤し私たちに恵みを与える水について「蛇口の向こう側」で管理する、 大町市上下水道課の職員の方にお話を伺いました。


ー「大町の水道水」は特別おいしいと聞くのですが、そのひみつはなんですか
一つは山の中の湧き水を取水して、水道水にしているからです。山から離れた都市部では河川やダム、沼 などの水を処理して使うことが多いのですが、北アルプスから一番近い場所に住んでいる私たちは、信濃 川水系最上流部の「生まれたての水」を使うことができるのです。 もう一つはそのような良質な水を使っているので、基本的には最低限の塩素消毒だけで法律に基づいた 「水道水」になります。全国の多くの自治体は浄水処理を行う浄水場を設置していますが、大町市では浄 水処理はごくわずかな山間部で行うのみです。ほぼすべての地区で浄水処理はしていません。 すべては山のおかげですね。大地がフィルターとなってゆっくり時間をかけて水をろ過してくれるから、おいしい水ができるのです。
質の良い水が売るほどあるので(笑)、ペットボトルに詰めて「信濃大町 湧水(ゆうすい)」として販売し ています。私たちが水道水にしている水源の水を非加熱除菌処理したものです。国際的な評価機関「モン ドセレクション」で、3年連続の最高金賞を受賞しました。一番良い賞をもらえて、やっぱり大町の水はおいしいのだと再確認しました。

ー では「蛇口をひねるとミネラルウオーター」というのは本当なのですか
はい。農林水産省の「ミネラルウオーター類の品質表示ガイドライン」によれば、大町市内の水道水はミネラルウオーターになりますね。しかしミネラルウオーターと言っても、カルシウムやマグネシウムなどのいわゆるミネラル成分は多くありません。水の硬度はミネラルの含有量で決まり、多ければ硬水、少なければ軟水です。大町の水は不純物が少なく、“超軟水”と言われるほどで、癖がなくてやわらかいので、飲みやすく身体にやさしいのが特徴です。

ー 大町のおいしい水は、どのように使われているのでしょうか
硬度の低い軟水は食材からうま味を抽出しやすいので、日本料理全般に向いています。日本酒やビールなどおいしい水を「仕込み水」にできるので、市内には酒蔵が3つ、ブルワリーやワイナリーもあります。「名水あるところに銘酒あり」と言いますもんね。 実は水のおいしさは温度も関係していて、大町の水はとても冷たいんです。美麻地区新行の水道水なんか 特に冷たくて、蕎麦を締めるのに都合がいいですね。おいしい蕎麦になります。 癖の少ない水質は企業さんにも喜ばれています。大手食品メーカーの「みすずコーポレーション」さんや 化粧品メーカーの「ラ・カスタ」さん、最近では大手飲料メーカー「サントリー」さんなど。水質を大切にする業種の工場がたくさん市内にあります。山が近い大町は水量が多くて取水しやすいのでね。

ー 倉科さんの仕事内容を聞かせてください。水道施設係では具体的にはどんなことを?
水道施設の建設、維持管理や水質管理、給水工事などを行っています。24時間365日、安全な水道水を提供しなければならないので、緊急時にはいつでも駆け付けます。 大変なのは漏水が起きた時ですね。山の中の配管に異常があると、山歩きして漏水箇所を探します。冬は雪で車が入れないことも多く、以前2時間近く雪山を歩いた時はしびれたね……。でも、この仕事が向いていると思います。高校で土木をやっていて現場が好きなので。

ー 大町に遊びに来る人が、気軽に水に親しめる場所はありますか
国営アルプスあづみの公園(大町・松川地区)内にある「河畔広場」では夏になると川遊びができますよ。家族連れにおすすめです。 気軽に行けるところは、やはり大町駅前本通りの「男清水(おとこしみず)」「女清水(おんなしみず)」でしょう。商店街に10ヶ所湧水が飲める場所があります(※詳細は下記リンクへ)。町を南北に走る通りを境にして、西側は上白沢水源、東側は居谷里(いやり)水源を利用しています。東西で水源が違うと民話で語られていますが、本当のことです。ぜひ味比べしてみてください。

ー 倉科さん大町市南部の常盤地区(源流エリア)にお住まいと聞きましたが、 どんな暮らしをされていますか
常盤地区は大町市内では比較的雪が少ないので、もし移住するなら常盤がいいと思うよ(笑) あとはグラウンドが多く、スポーツ好きが集まってるね。常盤はおいしいものがたくさんあるけど、ときわ農産物直売所「かたくり」で売ってる「とっから こしょう味噌」が大好きです。1パック200円くらいで安いんだよ。 常盤はお祭りも盛んで、国際芸術祭期間中の9月は上一下一、泉、西山、清水(すべて常盤の地名)と、毎週どこかで祭りが行われています。私は西山神楽保存会に入っていて、祭りでは獅子舞の「後かぶり」をやることも。その頃は稲刈りの時期と被るから忙しいけど、稲穂の揺れる美しい田園風景に癒やされますよ。

ー 国際芸術祭について思うことはありますか
最初は芸術祭というのがよく分からず、正直「なんなんだ?!」と戸惑ったけど、前回手伝ったり参加し たりするうちにサポーターの人たちと仲良くなれて……。結果的にとても面白かった。だから2回目もまた 人と繋がりを作っていきたいですね。やっぱり人付き合いが好きなんで。 次回は制作を手伝ってくれたサポーターの皆さんと、活動をしたその日の夜にバーベキューしたいって考えています。以前サポートに行った珠洲(奥能登国際芸術祭)で、行った日がたまたま焼き肉の日で嬉しかったので(笑)お肉は梨子田(市内精肉店)で買ってね、大町でもやりたいです。たくさんの人とふれあえるのが今から楽しみです。一緒のアートサイトを手伝ったサポーター同士でいろんな話がしたいですね。

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