信濃大町あさひAIR

| 小内光 Osanaihikari

小内光 Osanaihikari

詩と彫刻という分野の境界を行き来しながら制作をする小内光は、 セラミックや原料となる土、母語である日本語、ときには火、灰、石、水といった自然の要素を用いて、思い出や夢が持つ永続性と身体に訪れる死の関係を描いています。

その作品群には 100 年あまりで終わりを迎える肉体に代わって、更なる時代を迎えることができる新しい身体の形を探していく過程が通底しており、その痕跡を残す素材として土、そして文字が同等に扱われています。 例えば焚き火で焼かれた土器の作品はどこかの遺跡から出土した物品のようにも見えますが、よく見ればその表面には生々しい手跡が 残されています。また一見おとぎ話のようにも感じられるテキストは積み重なるメタファーによって輪郭を朧げにしながらも、散りばめられた微細な触覚や嗅覚の表現によって何度も「今」「ここ」へと 強く打ち返します。

小内光の作品は常にそれ自体が遠い未来への手紙や信号であるかのように、瞬間的なものを抽出して強靭な容器を与えようとします。それらは小内の個人的な物語であるようでいて、星座や洞窟壁画といったイメージの歴史に 1 つのページを加えようとする試みでもあるのです。