写真は10月5日の虹である。大町での滞在中、取り分け最初の二〇日ほどは、呆れるほど降ったり止んだりを繰り返していたのだから、虹にだってもっと何度もたくさん出会ってもいいと思うのだが、実際はこの一度っ切り。二重で、しっかりアーチを描いていた。
私はアニメ『蟲師』に登場した虹を思い出す。地中から地表を突き破り、ズゴォーーー と噴き出す虹。この発想はなかった。やられた。これ以降、虹を見かけるとその根元をつい、想像してしまう。いつか、そこへ行ってみたいと思ってしまう。
虹の地域性を考えてみるがわからない。少なくとも実感はない。
多くの人間にとって虹などどうでもいい。実際、10月5日の虹も、私が見つけ、それを伝えた人の半分はほぼ興味なしというリアクションであった。へー。ほー。ふーん。てなもん。
その昔は謎で不思議な神秘的ということで、各地で様々な神話の元となり、その形状は弓や蛇や竜などと着想されて来たようだが、いつからか、さほど珍しくもない物理現象となった虹の地位は、少なくとも私の周りの半分くらいにとっては落っこちろところまで落ちている。
絵に描けば平和の象徴よろしく、何ともほんわりとした雰囲気を演出する。そこに難しい話は似合わない。何でもない日おめっでとーって感じ。