信濃大町あさひAIR

| 自己紹介とAIRと亡くなった猫たちについて

自己紹介とAIRと亡くなった猫たちについて

2015年12月25日

ブログ

 はじめまして、こんにちは。あさひAIRコーディネーターの一人の中村直人です。

もともとそんなにアート全般に強い興味があったわけではなく、アートの世界ってこんな感触なんだと日々楽しみながら仕事させてもらっています。そんな中でも特に強く印象に残る出来事がいくつかあります。

「アーティストはそんな強いわけじゃありません」

 11月末に埼玉県であった『マイクロレジデンス・ネットワークフォーラム』で、アーティストの一人から言われた言葉です。ちなみにフォーラムは、AIRの中でも特に規模の小さく機動性のあるものらについての世界的な総会でした。

僕らには葛藤がありました。アートは基本的に作家の内面から生まれてくるもので、むしろそうでなければ良い作品にならない。外からああしろこうしろと言えば言うほど、結局出来上がった作品は何の意味も輝きもないものになってしまう。
 でも僕らコーディネーターは地域に出来る限りアーティストにかかわってほしいわけです。その落としどころをどこにしたらいいのか、世界のAIRパイオニア達やアーティストが集まるフォーラムで聞かない手は無いと、質問時間に手をあげてみました。
 そこで会場に居たアーティストが返してくれた言葉が「アーティストはそんな強いわけじゃありません」だったのです。後の交流会では、指輪に植えこんだ亡くなった飼い猫のひげを撫でながら、猫への愛を話してくれたドイツ人アーティストの彼女が言うには、ぽんと渡された地域の課題なんて大きなものをいきなり負えるほどアーティスト個人は強くない。期待しすぎだと、言われてはっとしました。

 じゃあどうやって地域とアーティストに結びついてもらうかというと、コーディネーター達がアーティストを選ぶ段階で、地域の課題や雰囲気とあったアーティストに鼻を利かせるしかない。あるいはアーティストが面白いと思える形で地域の課題を物語化やパッケージ化して渡すなど、とにかくコーディネーター自身の熱伝わるようにしなきゃいけないと。

 僕はこの話を聞いて、アートに触れるとか、学ぶとかはあるけれども、この仕事もやっぱり人と向き合う仕事なのだと、自分の仕事が少し好きになりました。指輪を通じて亡き猫たちと繋がるみたいに、アートを中心に地域と世界を、あるいはアーティストと自然を、結ぶ手伝いができたらなと思ってます。

中村 直人