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<国際芸術祭レポート>雨の中の芸術祭‖雨の日の北アルプス山麓は情緒で包まれる

梅雨真っ只中が会期となっている北アルプス国際芸術祭。
6月下旬は長く雨が続き、そこに堂々と佇むはずの北アルプスの山並みとはしばらく疎遠になっておりました。

「せっかくきたのに、雨なんて残念だ、、」
そんな声が多く聞こえてきますが、実はこの地域は「雨がとっても似合います!!」

今回は、雨がとっても似合う!!芸術祭についてをレポートしたいと思います。


雨に濡れる田んぼの緑の絨毯/分厚い雨雲とお山にかかる薄雲のコントラストが綺麗です。

こんにちは。
北アルプス国際芸術祭レポーターのたつみです。

今回レポートしたいのは「雨」のこと。
雨が降ると、ほとんど北アルプスは靄の中に姿を隠してしまいます。
これはとても残念なこともしれません。

あちこち靄がかって、景色の見通しが悪く、何よりも濡れてしまう。
雨が降っているというだけでなんだかネガティブになってしまうかもしれません。

ですがこの地域、冒頭でも「雨が似合う!!」と書いたように、雨の日はとても情緒的で美しい!!のです。


大町市北部の中綱集落/山の中腹から霧が生まれて空へと登っていきます。


仁科三湖中綱湖に降る雨/湖面には無数の波紋が、できて広がってぶつかってまたできる、を繰り返しています。

雨が降ると、山や湖の湖畔からは水蒸気が発生して、霧がかります。
誰かが 「あ。雲が、生まれた。」 と、その水蒸気たちを指差したことがあって、それがとても印象的でした。

地面と雨の温度の差で、このように水蒸気は発生するそうです。
あちこちに生まれた霧は町全体を包み込み、それはそれは幻想的な水墨画のように、モノクロで透き通った景色を魅せてくれるのです。


地面からこのように霧が生まれることもあります/霧が生まれると景色がなんだか情緒的に見えてきませんか?

私は元々関西の出身で、町中で暮らしている頃、「雨はどこに還っていくのだろう?」
そんなことを考えていたことがあります。
なんとなく町で降る雨は窮屈そう。

バスや電車の中で、水滴を拭いきれない傘は邪魔者でした。
人が吐き出す水蒸気で湿るガラスはなんだか鬱陶しいものでした。

お山に降り注いだ雨は、約30年かけて地上へと湧き出るそうです。
北アルプス山麓はどこも水道水が「美味しい」と言いますが、お山に降り注いだ雨は地中に潜ってから濾過されながらも様々な物質を吸収するのだそうです。


作家 平田五郎 氏 作品「水面の風景―水の中の光~山間のモノリス/作品の中央からは北アルプスの透き通った水が湧き出ています。

「北アルプスのおいしい水道水」
私はこの地域の水道水に敬意を払い、こう呼んでいます。

雨が降り、土に還り、地上へと湧き出て、、
それらは人や動物の飲み水に
植物や作物の養分に

水蒸気から生まれた雲が重たくなってまた雨となり
そんな循環の美しさを、なぜだかこの自然の中では身近に感じることができるのです。


高橋貞夫 氏 作品「伽藍ヘの廻廊」が展示されいる霊松寺の山門/雨が降れば、傘をさす。

私はこの北アルプス山麓の地で暮らし始めてから、雨が好きになりました。
北アルプス国際芸術祭のテーマの一つとなっている「水」

展示されている作品に水が関係しているものは多く、大町市街地を流れる旧飲料用水の小川も、市内を流れる大きな二つの川も、湧水のみでできた仁科三湖も。

芸術祭のフィールドであるこの地では、あちこちで「水」と出逢います。
雨は、水の循環の一つの過程。

もし、この芸術祭を訪れた日が雨降りの時間だったとしたら。
少しだけ、雨を愛しく想ってみてはいかがでしょう。

自然を五感でいっぱいに感じる北アルプス国際芸術祭。
晴れの日も雨の日も、いつでもお愉しみいただきたいと思います。


ニコライ・ポリスキー 氏 作品「Bamboo Waves」/八坂支所駐車場より山並みと作品を見下ろします。

記事と写真
たつみかずき