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<国際芸術祭レポート>石の壁に広がる光と声‖おおたか静流 with 藤本隆行

巨大な石の壁が鎮座している山間の川辺にはたくさんの人が集まりました。
この巨大な壁は高瀬川に発電用に建設された「七倉ダム」。
積み上げられた石の壁の高さはなんと、125mにもなります。

この高瀬川の上流に、同じく鎮座している「高瀬ダム」に次ぐ、日本のロックフィルダムの中では2番目に高いダムなのだそうです。
この巨大な壁の麓に設置されたステージで おおたか静流 with 藤本隆行 「光影」のパフォーマンスが行われました。

今回は、この時のパフォーマンスの様子をレポートしたいと思います。

-7月15日
こんにちは。
北アルプス国際芸術祭レポーターのたつみです。

それはまさに「壁」で、その壁は表面的には石のみで構成されています。
その姿の存在感はとてつもなく、それこそ「鎮座する」とか「そびえる」の言葉がぴったりとするのです。

ダムは自然の中に造られる建造物ですが、この大自然と相反する人工的な造形がそびえる空間が異質でいて、言い表せない芸術的な美観こそ感じられます。

「光影」は、シンガー&ボイス・アーティストのおおたか静流氏と、日本の舞台芸術を牽引してきた照明アーティスト藤本隆行氏の共演作で、異質な空間に歌声が響き、光が広がり、幻想的で妖艶で、空間そのものがどこか知らない国にいるかのような不思議な時間でした。

パフォーマンスそのものはとてもシンプルなもので、おおたか氏の「声」と藤本氏の「光」のみで構成されていました。
時折流れる楽器やノイズや重低音、ほとんどが声。

それは、唄であり、囁きであり。
素朴で透き通った音が、人々の心を魅了していく。

こんなにも素朴でシンプルなのに
ある種の催眠のように、どんどんと人々を引き込んでいくその様を、私は目の当たりにしながら、伝えるこのできない空間を何枚も何枚も写真に収めました。

黄昏時から漆黒の闇が堕ちる頃、広がる光は動きを始めます。
透明から、黄色く、紅く、蒼く。

音と呼応して、振動し、波打ち、鼓動するかのように
色とりどりの光は、あちこちを照らし、伸びて、突き刺します。

怪しく、美しく、妖艶で。
光と闇の極限まで強められたコントラストが、観客を含む空間そのもの全てが作品と化していきます。

正直、写真を撮ることを今すぐに放棄して、自分自身もその空間の一部になりたい。
そんな感覚を覚える、不思議な世界。

 

響いた声は余韻を残し、1時間に渡るパフォーマンスを終えました。
鳴り止まない拍手が、作品の素晴らしさを伝えます。

芸術祭も終盤に差し掛かり、祭りの終わりがすぐそこで待っている。
パフォーマンスが終わった頃、そんなことを考えてしまいました。

「わぁ、綺麗。」誰かがつぶやきました。
光を落とした空間には、気づかぬうちに星に包まれていたのです。

「これは、幸せというやつだ。」
少しの間、人々が去りゆく会場で星を見上げながら、この町で暮らしてから何度も何度も感じている素朴な幸せを改めて感じる夜でした。

祭りはもうすぐ終わるけど、この町での暮らしは続くのです。
特別な幸せと、素朴な幸せを感じる芸術祭。

もう少しだけど、引き続き大町をよろしくお願いしますね。
できれば。できればだけど、、
少しと言わず、末長く!!

残すレポート記事はあと2本。
最後まで、芸術祭を愉しみ倒します!!

記事と写真
たつみかずき