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<国際芸術祭レポート>おこひるの記憶‖仁科三湖の湖畔で食と語り部から感じる文化

「それはぁ、昔、昔のことじゃった。」

仁科三湖、木崎湖を背に語り部が語り始めると、集まった人たちはその声に引き寄せられるように耳を傾けました。

その日、湖には厚い雲がかかっていて。
今にも雨が降り出しそうな、それでいて風のない穏やかなお昼の時間でした。

こんにちは。
北アルプス国際芸術祭レポーターのたつみです。

今回は、会期中の毎週土日祝日に木崎湖畔で行われている「おこひるの記憶」をレポートしたいと思います。

おこひるの記憶を開催しているのは、YAMANBAガールズという地元大町市で活動している「NPO法人ぐるったネットワーク大町」「大町民話の里づくりもんぺの会」のメンバー4名からなるユニットで、大町市の郷土料理/その背景となる暮らしぶりや食文化/生活の知恵を研究しています。


おこひるの記憶でいただく郷土料理のお重/8品と汁、季節の天ぷらが愉しめます。

「おこひる」とは、農作業の休憩の際に食べる軽食の指し、今回の出展に際して大町の食文化を元に開発したメニューをこのように名付けました。

「おこひるの記憶」では、大町に古くから伝わる民話を語り部が語り、その後でおこひるをいただくことができます。

このメニューは、芸術祭会期以前に数回試食会を行い、郷土料理研究家長島先生の力を借りて開発するに至りました。

これまでのYAMANBガールズの活動に関しては
>> <国際芸術祭レポート>YAMANBAガールズ‖食と語り部のおこひる郷土料理試食会


YAMANBAガールズの一員鈴木氏/たまたま通りかかったところをお誘いいただきました。

6月24日-

「今日、たまたま2席分だけ空きがあるよ!」
芸術祭の取材を進める為に、モデル(友人)を連れて作品の撮影で木崎湖畔を歩いていると、満面の笑みでYAMANBAガールズの一員である、鈴木氏に声をかけていただきました。

おこひるの記憶は大変人気がある為、取材するにもなかなかタイミングが合わず、、
ここぞとばかりに参加させいただきました!

木崎湖畔の現在休業中である「旅館ろまんす」が、おこひるの記憶の開催場所です。
中に入ると、既に私ちた以外の席は埋まっておりました。


オカリナの音色から語り部のお話は始まりました/後ろの木崎湖の青々とした色がとても綺麗です。

オカリナの音色が響くと、語り部のお話が始まりました。
お話は「種まき爺さん」の民話で、北アルプス爺ヶ岳にできる雪形に関した逸話です。

語り部が話す古い方言がなんとも心地よく、お話は進みました。
その向こうの穏やかな湖は青々として、この光景もまた心地よいものでした。

お話が終わると、なんとも言えない暖かな空気に包まれて、参加者から大きな拍手が起こりました。


お話の余韻の中、丁寧に作られた郷土食のお重をいただきます!

お話が終わっていよいよ食事が始まります。
お重の中には、様々な郷土料理が美しく盛られています。

大町で古くから食されている凍み大根/氷餅を始め、8品のおかずと、汁/天ぷらがメニューの内容でした。
※これらは6月のメニューです。7月はメニューが変更となっています。


地元のお母さんたちはとても陽気で気さくです/たくさんの天ぷらが運ばれてきて、一つ一つ丁寧に説明をしてくれます。

郷土料理はどれも美味しく、食べ応えのある内容でした。
後から運ばれてくる天ぷらは地物の山菜で、それはそれは豪華です。
会場からは、地元のお母さんたちと参加者の方達の談笑の声が響きます。


YAMANBAガールズと郷土料理研究家長島先生、お手伝いのスタッフさんの一礼に、会場からは大きな拍手が贈られました。

「ありがとう!」と声を出す方がおられるほど盛況に会は閉じられました。
実際に参加した私自身も、とても愉しい時間を過ごさせていただきました。

この会には大町の文化がたくさん詰め込まれていました。
伝統的な郷土食も民話もそうですが、このような会を催す地元の方の地元愛そのものが、「大町の文化」の一つであるのだと、感じた次第です。

会期終了まで残り僅かとなりましたが、週末にお出かけの際は是非、おこひるの記憶をお愉しみいただきたいと思います!


会場に吊るされた氷餅と凍み大根/いまではこの光景は大町でもあまり多くは見かけない、失われつつある文化の一つ。

記事と写真
たつみかずき